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バスケットボールの「ユーロファウル」とは?初心者向け解説

ユーロファウルとは? 用語解説

ユーロファウルは、バスケットボールで相手の速攻をわざとファウルして止める戦術のこと。かつては「賢い守備」として重宝されてきましたが、現在ではルール改正により厳しくペナルティが科されるようになりました。本記事では、ユーロファウルの意味・由来・NBAとFIBAの対応、そして実際のエピソードまで分かりやすく解説します。

ユーロファウルとは?

ユーロファウル」(Euro Foul)とは、バスケットボールで相手の速攻(トランジション)を故意のファウルで止める戦術を指します。ディフェンス側が数的不利な速攻を受けそうな場面で、わざと身体接触の反則を犯してプレイを中断させることで、自チームの守備陣形を立て直す狙いがあります。簡単に言えば、「相手に楽な速攻得点をさせないためにわざとファウルする」行為です。

この戦術は、一つのファウルで速攻からの大きな失点を防げるため、かつては「賢い戦略」とも見なされてきました。しかし同時に、観客が楽しみにしているダンクやアリウープといった速攻の見せ場を潰してしまうため、長年批判の対象にもなってきました。ユーロファウルは「テイクファウル」とも呼ばれ、近年その是非が議論されてきたプレーの一つです。

ユーロファウルは公式名称ではなく通称

ユーロファウル(Euro Foul)」という言葉は、ルールブック上の正式名称ではなく、あくまで通称です。ヨーロッパのバスケットボールで「数的不利な速攻はファウルで止める」という守備が多く見られたことから、北米のファンやメディアが皮肉を込めて呼び始めたニックネームだとされています。

公式ルール上は、NBAでは速攻潰しの行為をまとめて「テイクファウル(Take Foul)」として整理しており、FIBAでは同じような行為を「アンスポーツマンライク・ファウル」の一種として扱います。つまり、「ユーロファウル」という呼び名は解説やメディアで使われる言葉であり、条文にそのまま載っている名称ではありません。

NBAとFIBAでの「ユーロファウル」への扱い

団体 名称・扱い 罰則
NBA ・通称:ユーロファウル
・公式名称:テイクファウル(Take Foul)
・2022-23シーズンから厳罰化
・フリースロー1本
・ボール保持権も継続
※終盤の一部状況を除く
FIBA ・「ユーロファウル」という項目は存在しない
・速攻潰しの行為はアンスポーツマンライク・ファウル(C3)扱い
・フリースロー2本
・ボール保持権も継続
→NBAよりさらに重い罰則

FIBAのルールブックには、「ユーロファウル」や「速攻潰しのファウル」という名前の専用項目はありません。しかし、速攻中の選手をボールにプレーする意思なくつかんだり押さえたりする行為は、基準上アンスポーツマンライク・ファウルとして扱われます。

特に、ボールにはほとんどプレーせず相手の進行を止めるだけのファウルは、「プレーに向かっていない不要な接触」と判断されやすく、フリースロー2本とボール保持という重い罰則が科されます。つまりFIBAでは、意図的に速攻を潰すユーロファウル的な行為は、もともとルール上かなりリスキーな選択肢です。

一方NBAでは、2022-23シーズンから速攻潰しの行為を明確にテイクファウルとして定義し、フリースロー1本+ボール保持を与える厳罰化が行われました。これにより、速攻をわざと止めるプレーは大きな不利となり、ユーロファウルは実質的に抑制されています。

NBAテイクファウルの「終盤2分ルール」とは?

NBAのテイクファウル(ユーロファウル)には、第4クォーター残り2分以内オーバータイム残り2分以内に限って例外があります。この時間帯では、速攻潰しの意図的ファウルであってもテイクファウルとしての重い罰則(フリースロー1本+ボール保持)は適用されません。

終盤は追うチームが時計を止めるために意図的にファウルを行う「ファウルゲーム」が戦術として一般的です。もしこの局面でもテイクファウルの厳罰が適用されてしまうと、逆転のチャンスが事実上消え、試合終盤の戦略が成立しなくなってしまいます。そのためNBAは終盤2分に限り、意図的ファウルを通常のパーソナルファウル扱いとし、試合の駆け引きを保つルールを採用しています。

論争とルール変更:NBAとFIBAの対応

ユーロファウルは効果的な戦術である一方、スポーツマンシップに反するという理由で長年議論の的となってきました。NBAでは速攻の見せ場が奪われるという批判が多く寄せられ、対策が求められていました。

以前のNBAではユーロファウルを通常のパーソナルファウルとして扱っていましたが、それでは抑止効果が弱く、速攻潰しは繰り返されていました。そこでNBAは2022-23シーズンから新ルールを導入。速攻中の意図的なファウル(テイクファウル)はより重い処罰対象となり、

  • 被ファウル側に1本のフリースロー
  • さらにボール保持権も継続

というペナルティが科されるようになりました(※終盤の一部状況を除く)。これにより「ファウルすれば速攻を止められる」というメリットはほぼ消失し、速攻つぶしは大幅に減少しました。

一方FIBA(国際バスケットボール連盟)では、ユーロファウル的行為は以前から強く抑制されています。速攻を止めるだけの意図的ファウルはアンスポーツマンライク・ファウルと判定され、

  • 相手にフリースロー2本
  • さらにボール保持権

という重い処罰が科されます。FIBAはNBAより早く厳罰化していたため、NBAが後を追う形となりました。

ユーロファウルに関するエピソード

ユーロファウルには数々の象徴的な場面があります。

2018年のNBAプレーオフ(ジャズ対サンダー)では、ジャズがラッセル・ウェストブルックの速攻を止めるため、意図的ファウルを連発。ウェストブルックの得意なトランジションを封じ、シリーズの流れを左右したと言われています。

また日本の高校バスケでも興味深い例があります。2023年ウインターカップ男子準々決勝、藤枝明誠高校は残り数秒の守備で、チームファウルが少ない状況を利用して立て続けに3回の意図的ファウルを行い、相手の攻撃時間をほぼ奪って勝利しました。高度な試合運びに会場がざわついた場面です。

ユーロファウルは地味に見える一方で、「勝つための戦術」としてプロから高校生まで幅広く活用されてきました。近年はルール変更により通用しづらくなりましたが、バスケットボール戦術の歴史に確かな影響を与えた行為として語り継がれています。

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