バスケットボール観戦が初めての方や、最近プレーを始めたばかりの初心者にとって、「ジャンプボールシチュエーション」や「ポゼッション(ボールの持ち主)」のルールは少しややこしく感じるかもしれません。ここでは、テレビや会場での観戦をもっと楽しめるように、バスケ未経験者にも分かりやすく、FIBA(国際ルール/Bリーグ)とNBAのジャンプボールシチュエーションについて整理して説明します。
ジャンプボールシチュエーションとは?
ジャンプボールシチュエーションとは、「どちらのチームのボールにするか、すぐには決められない場面」の総称です。実際にセンターサークルでジャンプして始める場合だけでなく、プレーの途中でボールの所有権があいまいになったときも含まれます。
審判が笛を吹いて、両手の親指を立てて上に見せるジェスチャーをするときがありますが、あれが「ジャンプボールシチュエーション(ヘルドボール)」のサインです。
どんなときにジャンプボールシチュエーションになる?
ジャンプボールシチュエーションになる場面は次のようなケースです。
- ヘルドボール:両チームの選手がボールをがっちりつかみ合い、どちらのボールか決められないとき
- 最後に誰が触ったか分からないアウトオブバウンズ:ボールが外に出たものの、どちらの選手が最後に触ったかはっきりしないとき
- ボールがリングとバックボードの間に挟まったとき:シュートが外れて、ボールがゴールの上に引っかかって落ちてこない場面
- ダブルファウルでどちらにも明確なボール保持がないとき:両チームの選手同士が同時にファウルをしたが、その瞬間にどちらのチームもちゃんとボールを持っていない場合
これらの場面では、「さあ、どちらのボールで再開しよう?」という問題が発生します。この解決方法が、FIBAとNBAで大きく違います。
ポゼッションはどう決まる?
ポゼッションとは、「今どちらのチームがボールを持つ権利があるか」という考え方です。ジャンプボールシチュエーションが起きたとき、このポゼッションをどう決めるかがポイントになります。
FIBA(Bリーグ)ルール:ポゼッションアローで交互に分け合う
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FIBAルール(日本のBリーグや代表戦も基本的に同じ)では、試合中に何度もジャンプして競うのではなく、「ポゼッションアロー」と呼ばれる矢印を使って、ボールの権利を交互に分配します。
おおまかな流れは次の通りです。
- 第1クォーターはセンターサークルでジャンプボール(ティップオフ)を行う。
- 最初にボールをコントロールしたチームとは反対側のチームに、最初の「ポゼッションアローの権利」が与えられる。
- 以降、ジャンプボールシチュエーションが起きるたびに、アローが指しているチームがスローインでボールをもらう。
- スローインがコート内の選手に渡ったタイミングで、アローを反対方向に切り替える。
また、各クォーターの始まりもアローで決まります。
- 第2クォーター・第3クォーター・第4クォーターの開始時は、アローが指しているチームがセンターライン付近からスローインでスタートする。
- オーバータイム(延長)も同じく、アローが指しているチームのスローインで始まる。
つまりFIBAでは、「試合開始以外はジャンプをせず、アローを見て交互にボールを渡していく」仕組みになっています。背の高い選手がいるチームに有利になりすぎないようにするためと、試合をスムーズに進めるための工夫です。
NBAルール:ジャンプボールで競って決める
一方でNBAは、「ボールは勝ち取るもの」という考え方が強く、ジャンプボールを積極的に使います。ジャンプボールシチュエーションが起きるたびに、基本的には再びジャンプボールを行います。
NBAでジャンプボールが行われる主な場面は次の通りです。
- 第1クォーター開始時のティップオフ
- オーバータイム(延長)の開始時(毎回ジャンプボール)
- ヘルドボールが発生したとき
- 不明確なアウトオブバウンズや、ルーズボールの状態でのダブルファウルなど、どちらのボールか決めづらい場面
ただしNBAでも、各クォーターの始まりはすべてジャンプボールをやり直すわけではなく、次のようなルールで分けられています。
- 第1クォーター:センターサークルでジャンプボール
- 第2クォーター:第1クォーターのジャンプボールで負けたチームがスローインでスタート
- 第3クォーター:同じく、負けたチームがスローインでスタート
- 第4クォーター:ジャンプボールで勝ったチームがスローインでスタート
つまり、NBAでは「第1クォーターのジャンプボールに勝つ=試合終盤の第4クォーターを先に攻められる」という意味もあり、ティップオフ自体が戦術的にも重要なプレーになっています。
FIBAとNBAの違いを簡単に比較
| シチュエーション | FIBA(Bリーグ) | NBA |
|---|---|---|
| 第1クォーター開始 | センターサークルでジャンプボール | センターサークルでジャンプボール |
| 第2・第3クォーター開始 | ポゼッションアローが指すチームがスローイン | 第1クォーターのジャンプボールで負けたチームがスローイン |
| 第4クォーター開始 | ポゼッションアローが指すチームがスローイン | 第1クォーターのジャンプボールで勝ったチームがスローイン |
| オーバータイム開始 | ポゼッションアローが指すチームがスローイン | センターサークルでジャンプボール |
| ヘルドボール発生時 | ポゼッションアローが指すチームがスローイン | 最寄りのサークルでジャンプボール |
| ボールがリングに挟まったとき | ポゼッションアローが指すチームがスローイン | ジャンプボール |
| 不明確なアウトオブバウンズ | ポゼッションアローが指すチームがスローイン | ジャンプボール |
観戦中にここをチェックすると分かりやすい
バスケにまだ慣れていない方は、次のポイントを意識して観ると、ジャンプボールシチュエーションがぐっと理解しやすくなります。
- BリーグやFIBAの試合では、コートサイドやビジョンに表示されている「ポゼッションアロー」の向きに注目する。
- ヘルドボールになったとき、FIBAでは「矢印の向き」、NBAでは「このあとどこでジャンプボールをするか」に注目してみる。
- NBAの試合では、第1クォーターのジャンプボールに勝ったチームが、第4クォーターのスタートも攻め始めることを覚えておく。
こうしたポイントが分かってくると、「なぜ今あのチームのボールなのか」「終盤のポゼッションがどれだけ大事か」といった部分が見えてきて、バスケ観戦がさらに面白くなります。



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