メンフィス・グリズリーズのスター選手、ジャ・モラントがチームの新たなオフェンス戦術に不満を抱き、トレードを希望しているとの噂が広がっています。2025年3月末、ヘッドコーチのテイラー・ジェンキンスが解任され、後任としてトゥオマス・イサロが暫定ヘッドコーチに就任しました。
この人事と新たな戦術が、モラントのプレースタイルとどのように衝突しているのかを詳しく見ていきます。
イサロ新HCのオフェンス戦術とその特徴
フィンランド出身のトゥオマス・イサロ新HCは、ヨーロッパでの豊富な指導経験を持ち、特にボールムーブメントとオフボールの動きを重視する戦術で知られています。彼のスタイルは、選手全員が積極的に動き、ボールを共有することでディフェンスを崩す「モーションオフェンス」を基盤としています。(出典:Wikipedia)
この戦術は、ボールハンドラーに依存せず、全員が均等に攻撃に参加することを目的としています。そのため、従来のピック&ロールやアイソレーションプレーの頻度が減少し、代わりにスクリーンを使ったオフボールのカッティングやスペーシングが強調されます。
モラントのプレースタイルとの不一致
ジャ・モラントは、爆発的なスピードと卓越したボールハンドリングを武器に、ピック&ロールやアイソレーションから得点を重ねるスタイルを持っています。彼のプレーは、高いボール保持率とスクリーンを活用したドライブが特徴であり、これまでのグリズリーズのオフェンスは彼を中心に展開されていました。
しかし、イサロ新HCの戦術では、ボールの共有とオフボールの動きが重視され、モラントのボール保持時間が減少。これにより、彼の得意とするプレーが制限され、平均得点やアシスト数にも影響を及ぼしています。
新・旧HC体制でのモラントのスタッツ比較
指標 | テイラー・ジェンキンスHC時代 | トゥオマス・イサロHC就任後 |
---|---|---|
平均得点 (PTS) | 26.2 | 22.7 |
平均アシスト (AST) | 8.1 | 7.4 |
平均リバウンド (REB) | 5.9 | 4.2 |
フィールドゴール成功率 (FG%) | 47% | 45% |
3ポイント成功率 (3P%) | 31% | 30% |
フリースロー成功率 (FT%) | 75% | 83% |
*データは米スポーツメディア「Sports Illustrated」から引用しました。
イサロ新HCの下でモラント選手の平均得点、アシスト、リバウンド数が減少し、フィールドゴール成功率も低下していることがわかります。
これらの変化は、戦術の違いや役割の変化が影響している可能性があります。
モラントの不満とトレードの噂
これらの戦術的な変更に対し、モラントは明確な不満を示しており、チーム内外でその声が報じられています。
TheAthleticによると、
彼は新しいオフェンスが自身のプレースタイルと合わないと感じており、特にボールが手元から離れることや、好んで使っていたスクリーンが減少したことに不満を抱いています。
さらに、モラントは親しい関係にあったアシスタントコーチ、ブレイク・アハーンの解雇にも不満を示しており、これが彼のフラストレーションを増幅させています。(出典:Bleacher Report)
これらの状況から、モラントがトレードを希望しているとの噂が浮上しています。現時点で公式なトレード要求は出されていませんが、彼の不満が続く場合、オフシーズンに向けて動きがある可能性も指摘されています。(出典:Yardbarker)
グリズリーズの対応と今後の展望
グリズリーズのゼネラルマネージャー、ザック・クレイマンは、ジェンキンス前HCの解任について「シーズンの緊急性を考慮した決断」と説明し、プレイヤーからの影響はなかったと述べています。(出典:AP News)
しかし、モラントの不満が続く場合、チームとしても彼の意向を無視することは難しく、今後の対応が注目されます。特に、イサロ新HCの戦術とモラントのプレースタイルをどのように調和させるかが鍵となるでしょう。
現在、グリズリーズはウェスタン・カンファレンスでプレーオフ進出を争う位置にあり、チーム内の不協和音が成績に影響を及ぼす可能性もあります。モラントの去就とチームの戦術的な方向性が、今後の成績にどのように反映されるのか、ファンや関係者の関心が高まっています。
最新の情報として、モラントは直近の試合で好調なパフォーマンスを見せており、チーム内での役割や戦術の調整が進んでいる可能性もあります。今後のインタビューでは、モラント自身も「自分のプレースタイルとチームの方向性がうまく噛み合っていないと感じることがある」と発言しており、チームと個人の関係に揺れがあることを認めています。(出典:The Athletic)
トレード先の候補と市場価値
仮にモラントがトレード市場に出た場合、多くのチームが関心を示すことは間違いありません。特に、オーランド・マジック、ブルックリン・ネッツ、ミネソタ・ティンバーウルブズといった若手が台頭しつつあるチームが有力候補とされています。
これらのチームはボールハンドラー不足やリーダー不在に悩んでおり、モラントの獲得が即戦力の補強になると見られています。
ただし、モラントには過去の問題行動(SNS上の銃所持映像など)による出場停止処分の前歴があり、これがトレード交渉時の足かせになるという指摘もあります。また、グリズリーズと結んでいる大型契約(2028年までの5年最大1億9千万ドル)も、引き受け先のチームにとっては慎重な判断を迫る要素です。
まとめ:去るのか、残るのか──エースの決断とチームの未来
トゥオマス・イサロ新HCの掲げるチーム全体で機能するモーションオフェンスは、ヨーロッパで成功を収めた合理的な戦術です。しかし、その合理性が、かえって「個」で輝くモラントのようなスター選手の自由と爆発力を封じることにもなり得る。
モラントはまだ25歳と若く、キャリアのピークに差し掛かる段階です。彼が今後もグリズリーズの看板選手としてチームに残るのか、それとも自ら新天地を求めて動き出すのか――その判断は、チームの未来をも左右する重大な分岐点となるでしょう。
いずれにしても、2025年オフシーズンは、モラントとグリズリーズ双方にとって“試される夏”となりそうです。
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