NBAのスーパーマックス契約とは？基本的な概要と仕組み

「スーパーマックス契約（Supermax Contract）」とは、NBAの最高水準の契約形態で、正式には「指定選手例外（Designated Veteran Player Exception）」と呼ばれます。
この契約は、特定の実績を持つエリート選手がチームと結ぶことができる特別な契約で、通常の「マックス契約」を上回る金額を受け取ることが可能です。

スーパーマックス契約を結ぶことで、選手は他のどの契約よりも高い報酬を得られ、チームもその選手を長期的に引き留めることができます。

スーパーマックス契約の概要

スーパーマックス契約は、2017年に導入された新しい契約形態で、チームが自チームのスター選手を長期にわたって維持しやすくすることを目的としています。
通常のマックス契約と比べて、より高額かつ長期の契約が可能で、そのための条件も非常に厳格です。

マックス契約とスーパーマックス契約の違い

スーパーマックス契約の条件

選手がスーパーマックス契約を結ぶためには、以下の条件をすべて満たしている必要があります：

1. チーム在籍年数
   • 選手が対象となるのは、少なくとも7シーズンを経て、現行契約が3年以内に終了する場合です。
   • さらに、その選手が現在のチームに4年以上連続して所属していることが求められます。
2. 契約資格を得るための実績条件

   選手は、以下のいずれかの条件を過去3シーズンのうち1シーズンで達成している必要があります：

   • MVP（最優秀選手）を1度以上受賞
   • DPOY（最優秀守備選手賞）を1度以上受賞
   • オールNBAチーム（All-NBA Team）に直近のシーズン、または過去3シーズンのうち2回選出
3. 同じチームとの契約
   • スーパーマックス契約は、選手が同じチーム（いわゆる「ホームチーム」）にとどまる場合にのみ適用されます。
   • 他チームへ移籍する場合、この契約は適用されず、通常のマックス契約の範囲に制限されます。

スーパーマックス契約の金額

スーパーマックス契約では、選手のサラリーがサラリーキャップの35％まで設定可能で、かつ毎年最大8％の昇給が認められています。これは通常のマックス契約（最大5％昇給）と比べてかなりの優遇措置です。

具体的には、以下の通りです：

• 契約年数：最大5年
• 初年度のサラリー上限：サラリーキャップの35%
• 総額：状況によっては2億ドルを超えることも可能

たとえば、サラリーキャップが1億2000万ドルと仮定した場合、初年度年俸は最大4200万ドルとなり、昇給を考慮すると5年契約で合計約2億4000万ドル（年平均4800万ドル）に達する可能性もあります。

スーパーマックス契約を結んだ主な選手

スーパーマックス契約を結んだ選手は限られており、現役のスーパースターたちが主な対象です。これまでにスーパーマックス契約を結んだ主な選手として以下の例が挙げられます：

• ステフィン・カリー（ゴールデンステイト・ウォリアーズ）
• ヤニス・アデトクンボ（ミルウォーキー・バックス）
• デイミアン・リラード（ポートランド・トレイルブレイザーズ）

これらの選手は、自身のチームの看板選手として、かつリーグ全体でもトップクラスの選手であることを証明しています。

スーパーマックス契約のメリットとリスク

スーパーマックス契約は、選手とチームの双方にとって大きなメリットがある一方、リスクも伴います。

メリット

• 選手のメリット：最大限の報酬を得られると同時に、長期的な安定を確保できます。
• チームのメリット：他チームに移籍されるリスクを軽減し、チームの中心選手を維持することで、チームのブランド価値を高められます。

リスク

• サラリーキャップの圧迫：1人の選手に高額なサラリーを支払うことで、他の選手に充てる予算が減り、チーム全体の戦力バランスが崩れる可能性があります。
• 長期契約のリスク：怪我やパフォーマンスの低下が起こると、チームにとって大きな負担となる可能性もあります。

まとめ：スーパーマックス契約の意義
NBAにおけるスーパーマックス契約は、リーグのトップ選手たちに対して、彼らの実績と忠誠心に見合った報酬を与える一方、チームにとっては戦力の長期安定を図る重要な手段となっています。しかし、高額な契約はチーム編成に大きな影響を与えるため、戦略的な判断が不可欠です。特定の選手に多額の契約を結ぶことは、優勝を狙うチームにとって常にリスクとリターンのバランスを取る挑戦です。