バスケ観戦中、突然アナウンサーが「テクニカル!」「アンスポーツマンライク!」「フレグラント2です!」なんて叫んでいて、「えっ、何がどう違うの?」と戸惑ったこと、ありませんか?
ルールが違えば呼び方も違う、そしてその判定の意味も微妙に違う…。
今回はNBAとFIBA(Bリーグやオリンピック、ワールドカップなど)の視点から、「テクニカルファウル」「フレグラントファウル」「アンスポーツマンライクファウル(通称アンスポ)」の違いをスッキリ解説しちゃいます!
「テクニカルファウル」「フレグラントファウル」「アンスポ」の違いを一言でいうと?
テクニカルファウルは接触なしの「言動のNG行為」、フレグラントファウル(NBAルール)は接触ありの「危険すぎるプレー」、アンスポ(FIBAルール)は接触ありで「スポーツマンらしくない行為」です。
一見似ているけど、実は“接触の有無”と“意図・危険性”で明確に分類されているんです!
テクニカルファウルとは?(FIBA・NBA)
テクニカルファウルは、プレー中の接触とは関係ない「振る舞い」に対して科されるファウルです。
主に以下のようなケースでコールされます。
- 審判への過剰な抗議
- タイムを取らずに交代しようとする
- 遅延行為(わざと時間を使うなど)
- フロッピングなど、演技でファウルを誘う
身体接触がないにもかかわらず、ゲームの進行を妨げたり、相手や審判への敬意を欠いた行為に対して出されます。
なお、テクニカルファウルはFIBAとNBの両方で採用されていますが、ファウル後の罰則に違いがあります。それぞれの罰則は以下の通りです。
| 項目 | FIBAルール(国際/Bリーグなど) | NBAルール |
|---|---|---|
| 対象行為 |
ボールに直接関係のない非スポーツマン的行為。 例:暴言、審判への抗議、遅延行為、ベンチのマナー違反など。 |
同様に、プレー以外の言動による違反。 例:過剰な抗議、挑発、ルール妨害行為など。 |
| フリースロー |
相手チームにフリースロー1本。 シューターはチーム内の誰でも可。 |
同じ |
| プレー再開方法 | フリースロー後、テクニカルが宣告された時点でボールを保持していたチーム(またはポゼッション権を持っていたチーム)のスローインで再開。 | 同じ |
| 退場規定(選手) |
テクニカルファウル2回、または アンスポ+テクニカルの組み合わせで退場。 |
テクニカルファウル2回で退場。 |
| 退場規定(コーチ) |
自身のテクニカル2回、または ベンチスタッフのテクニカル累積によって退場。 |
同じ |
| 累積による罰則 | シーズン累積の罰則制度はなし。 |
シーズン累積による罰金・出場停止制度あり。 (例:16回で自動出場停止、以降2回ごとに追加停止) |
フレグラントファウルとは?(NBAルール)
フレグラントファウルは、NBAで用いられる「過剰で危険な身体接触」に対するファウルです。
その中でも2段階に分かれています。
- Flagrant 1: 無謀なプレーだが、故意ではない
- Flagrant 2: 極めて危険で、退場に値する行為
例えば、空中にいる選手を押す、頭部にヒジが入る…など、重大なケガの原因になるような行為が該当します。
罰則は以下のとおり:
- 相手にフリースローを与える(通常2本)
- 加えて、相手ボールで試合再開
- Flagrant 2の場合は即退場
「意図はなくても、危険性が高ければフレグラント」。これがNBAのスタンスです。
アンスポーツマンライクファウル(アンスポ)とは?(FIBAルール)
FIBA(Bリーグやオリンピック、ワールドカップなど)では、NBAの「フレグラント」に相当するものをアンスポーツマンライクファウル(略してアンスポ)と呼びます。
こちらも「危険な身体接触」へのファウルですが、以下のように定義が細かく設定されています。
- ボールにプレーしていない接触
- 後方からの不用意な接触
- 速攻中のわざと止めるファウル
- 不必要な力の使用
- 無謀または危険な接触
意図的かどうかよりも、「その接触がスポーツマンらしいか?」が判断基準になります。
罰則はこちら:
- 相手にフリースロー2本+その後のボール保持
- 1試合で2回アンスポを取られると退場
つまり、アンスポはFIBAにおける“危険接触ファウルのすべて”を包括したルールと言えます。
各ファウルの具体例
試合の中で最も印象に残るのが「重大ファウル」。単なる接触ミスではなく、選手の行動や意図が問われるこれらの反則は、試合の流れを一変させることもある。ここでは、テクニカル・アンスポーツマンライク・フレグラント、それぞれの代表的な事例と少し変わったケースを紹介する。
テクニカル・ファウルの例
テクニカル・ファウルは、接触を伴わない行為に対して科される反則。感情的な抗議や試合進行を乱す行為など、プレイ外の部分で起こるのが特徴だ。
テクニカル・ファウルのよくある事例
- 審判の判定に対して過度に抗議し、声やジェスチャーで不満を示す。
- タイムアウト明けに意図的に再開を遅らせ、試合のテンポを崩す。
- 交代ゾーンを無視してコートに入り、ゲームの進行を妨げる。
変わったテクニカル・ファウル事例
- 豪快なダンク後にリングへぶら下がってパフォーマンス。観客は盛り上がるが、審判の笛は容赦ない。
- フラストレーションからボールをスタンドに投げ入れ、即退場処分。
- 観客席やスコアラーへの挑発的な仕草が対象となるケースも。
アンスポーツマンライク・ファウルの例
アンスポーツマンライク・ファウル(U-Foul)は、ボールに対する正当なプレイを伴わない接触行為に対して科される。相手の安全を脅かす行為や、意図的な戦術ファウルが典型的な例だ。
アンスポーツマンライク・ファウルのよくある事例
- 速攻を止めようとして、後方から相手選手の体をつかむ。
- 空中でシュートを放つ選手に対して、不必要な接触を加える。
- ボールをプレイする意思がなく、体を押さえにいくディフェンス。
変わったアンスポーツマンライク・ファウル事例
- 試合終盤、時間を止めるための意図的なファウルがクライテリア4によりUファウルに格上げ。
- 速攻中に後方から不当な接触を行い、得点機会を阻止(クライテリア3)。
- 接触が軽くても「プレイ意図なし」と判断され、通常のパーソナルからUファウルに変更されるケース。
フレグラント・ファウルの例
NBAで定義されるフレグラント・ファウル(F-Foul)は、選手の安全を著しく脅かす「不必要」または「過度」な接触に科される。P1(不必要)とP2(不必要かつ過度)の2段階に分かれており、後者は即退場となる。
フレグラント・ファウルのよくある事例
- リバウンド争いで腕を振り回し、相手の顔や首に当ててしまう(P1)。
- ブロックを狙った際、相手の頭部に不用意な接触を与える(P1)。
変わったフレグラント・ファウル事例
- 過去の暴力的行為が累積し、リーグの判断でP2(不必要かつ過度)に格上げされるケース。
- プレイと無関係に拳を振りかぶるなどの攻撃的ジェスチャーで即退場。
- 実際に接触していなくても、威嚇的な動作が「暴力的行為」とみなされることもある。
まとめ
今回紹介した「テクニカルファウル」「フレグラントファウル」「アンスポ」の違い、しっかり理解できましたか?
違いをざっくり整理すると…
| 項目 | テクニカルファウル | フレグラントファウル(NBA) | アンスポ(FIBA) |
|---|---|---|---|
| 接触の有無 | なし | あり(重大) | あり(スポーツマンらしくない) |
| 主な内容 | 抗議・遅延など | 過剰で危険な接触 | 意図的・危険な接触 |
| 罰則 | FT1本(相手) | FT+ボール保持、 Flagrant2は退場 |
FT2本+ボール保持、 2回で退場 |
| 退場の可能性 | 2回で退場 | Flagrant2は即退場 | 2回で退場 |


コメントはお気軽に ご意見やご感想、ご質問などはこちらへお寄せください。