PER(Player Efficiency Rating)は、バスケットボール選手の真の実力を数値化する強力なツールです。
単なる得点だけでなく、リバウンドやアシスト、守備の貢献度までを包括的に評価し、選手の真価を見極めます。
この指標を使えば、誰が真のMVPか、どの選手がチームを支えているのかが一目瞭然。
このページではそんなPERの意味や、指標が示す選手の強さの目安、歴代から現在までのNBA選手の中で誰が最も高いPERをたたき出しているのかをまとめました。
バスケットのPERとは?
バスケットボールにおけるPER(Player Efficiency Rating)は、選手のプレイの効率を評価するための統計指標です。
これは、元メンフィス・グリズリーズの副社長で、現在はESPNの統計学者ジョン・ホリンジャーによって考案されました。PERは、選手が試合中に行うさまざまなプレイ(得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックなど)を1分あたりの貢献度として数値化し、選手の全体的なパフォーマンスを評価するものです。
PERの計算に使われるスタッツ
PER(Player Efficiency Rating)は、選手のパフォーマンスを総合的に評価するために以下のスタッツを使用します。これらのスタッツを計算に組み合わせることで、選手の効率性を数値化し、比較します。
- 得点(Points)
- リバウンド(Rebounds)
- アシスト(Assists)
- スティール(Steals)
- ブロック(Blocks)
- フィールドゴール試投数(Field Goals Attempted)
- フィールドゴール成功数(Field Goals Made)
- フリースロー試投数(Free Throws Attempted)
- フリースロー成功数(Free Throws Made)
- ターンオーバー(Turnovers)
PERのメリット・デメリット
PER(Player Efficiency Rating)は、選手の総合的なパフォーマンスを評価するための強力な指標ですが、使用する際にはその限界も考慮する必要があります。以下に、PERの主要なメリットとデメリットを示します。
メリット
- 包括的評価: 得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックなどの多くのスタッツを考慮し、選手の総合的なパフォーマンスを1つの数値にまとめます。
- 出場時間に基づいた評価: プレイ時間に基づいて調整されるため、出場時間が短い選手でも正確に評価できます。
- 歴史的比較が可能: 過去の選手やシーズン間での比較が可能で、歴史的に偉大な選手やパフォーマンスを評価するのに適しています。
デメリット
- 複雑な計算: 非常に複雑な計算が必要で、手軽に計算することが難しいです。
- 守備の評価が不十分: 主に攻撃のスタッツに基づいており、守備のパフォーマンスを十分に反映していません。
- チームの影響: チームのペースやシステムが選手のPERに影響を与えるため、異なるチーム間での比較が難しい場合があります。
EFFとPERの違い
EFFとPERはどちらも選手のパフォーマンスを評価する指標ですが、計算方法や評価の焦点に違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、どの状況でどちらの指標を使用するべきかが明確になります。
◆参考記事
バスケのEFFと計算方法は? #平均値や良い選手の目安も解説
1. 計算の複雑さ
EFF(Efficiency Rating): EFFは比較的簡単な計算式で、得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックから、ミスショットやターンオーバーを差し引いて計算されます。このため、シンプルでわかりやすく、ファンタジーバスケットボールなどで広く利用されます。
PER(Player Efficiency Rating): PERは非常に複雑で、得点、リバウンド、アシストなどに加え、リーグ全体の平均値やチームのペースに基づいた調整が必要です。このため、PERの計算は専門的な統計ソフトやプログラムを使って行うことが一般的です。
2. 出場時間の考慮
EFF: 出場時間を考慮していないため、出場時間が異なる選手同士の比較が難しいです。基本的には1試合ごとの平均パフォーマンスを評価しますが、時間調整は行いません。
PER: 出場時間に基づいて調整されるため、出場時間が短い選手でも正確に比較できます。選手の1分あたりの貢献度を評価するため、控え選手やローテーションプレイヤーの価値を適切に評価できます。
3. 考慮するスタッツ
EFF: 主にオフェンスのスタッツに焦点を当てており、得点やリバウンド、アシストなど、基本的なプレイをシンプルに評価します。ディフェンスについてはブロックとスティールが含まれていますが、総合的な守備力の評価には限界があります。
PER: EFFと同様に得点、リバウンド、アシストなどを考慮しますが、さらに詳細なスタッツやリーグ全体の統計データも使用して、選手の総合的な効率を評価します。
4. 使用目的
EFF: 簡単なパフォーマンス評価を行うための指標として広く使われます。計算がシンプルなため、迅速な評価が求められるシーンで利用されることが多いです。
PER: 選手の詳細なパフォーマンス分析を行うために使用されます。複雑な計算を経て、選手の総合的な価値を評価するため、分析やスカウティングに役立ちます。
PERの平均と「すごい選手」の目安
EFFのリーグ平均は常に15.00となり、シーズン間での選手パフォーマンスの比較に有効です。
また、PERを考案したジョン・ホリンジャー氏によると、PERの数値は以下のように選手の評価と結び付けることができます。
評価の目安
評価 | EFF範囲 |
---|---|
史上最高のシーズン | 35.0以上 |
圧倒的MVP候補 | 30.0~35.0 |
強力なMVP候補 | 27.5~30.0 |
MVP候補の一人 | 25.0~27.5 |
間違いなくオールスター | 22.5~25.0 |
ボーダーラインオールスター | 20.0~22.5 |
第二の攻撃オプション | 18.0~20.0 |
第三の攻撃オプション | 16.5~18.0 |
平均より少し上の選手 | 15.0~16.5 |
ローテーション選手 | 13.0~15.0 |
ローテーション外選手 | 11.0~13.0 |
ロスターギリギリの選手 | 9.0~11.0 |
リーグに定着できない選手 | 0~9.0 |
NBAにおける高PERランキング
米Wikipediaにまとめられていた、過去から現在までのNBAプレーヤーのPERランキングです。
非常に興味深いですのでぜひご覧ください。
キャリアPERリーダー(最低15,000分のプレイタイム)
2023年4月16日現在
ランク | 選手 | PER |
---|---|---|
1 | 二コラ・ヨキッチ | 28.05 |
2 | マイケル・ジョーダン | 27.91 |
3 | レブロン・ジェームズ | 27.08 |
4 | アンソニー・デイビス | 26.96 |
5 | シャキール・オニール | 26.43 |
6 | デビット・ロビンソン | 26.18 |
7 | ウィルト・チェンバレン | 26.16 |
8 | ボブ・ペティット | 25.45 |
9 | ケビン・デュラント | 25.29 |
10 | ヤニス・アデトクンポ | 24.92 |
11 | ニール・ジョンソン | 24.86 |
12 | チャールズ・バークレー | 24.63 |
13 | カリーム・アブドゥル・ジャバ― | 24.58 |
14 | カール・アンソニー・タウンズ | 24.42 |
15 | ジェームズ・ハーデン | 24.35 |
16 | クリス・ポール | 24.34 |
17 | ティム・ダンカン | 24.22 |
18 | マジック・ジョンソン | 24.11 |
19 | カール・マローン | 23.90 |
20 | ステフィン・カリー | 23.84 |
21 | アキーム・オラジュワン | 23.59 |
22 | ジュリアス・アービング | 23.58 |
23 | ラリー・バード | 23.50 |
24 | ドウェイン・ウェイド | 23.48 |
25 | カワイ・レナード | 23.42 |
26 | オスカー・ロバートソン | 23.19 |
27 | ヤオ・ミン | 23.02 |
28 | ジェリー・ウェスト | 22.91 |
29 | コービー・ブライアント | 22.90 |
30 | エルジン・ベイラー | 22.72 |
NBA選手のPERを調べるには?
もしもあなたが、例えば八村塁やアレックス・カルーソなど特定のNBA選手のPERを調べたいと思ったら、Statmuseというアメリカのスポーツ統計サイトをチェックすると良いでしょう。
特定の選手のPERをチェックするには、サイトの検索ボックスに「選手名 + PER」と打ち込んで検索してみましょう。
上記の画像は八村塁選手のPERを調べたものですが、直近のシーズンではPER15となっています。
\「選手名 + PER」で検索/
statmuse
まとめ
PERを通じて、選手の見えない貢献度や真の実力を理解することができます。この指標を活用して、試合の新たな一面を発見してみてください。
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