NBAで「3&D(スリー・アンド・ディー)」という言葉が広く使われるようになったのは、90年代後半から2000年代前半にかけてのこと。誰か一人が作った表現ではなく、バスケットボールの戦術が進化する中で自然と定着していった概念だ。
では、3&Dとは何か。端的に言えば、3ポイントシュート(3)とディフェンス(D)を主な強みとするスペシャリストを指す。
このタイプの選手は、オフェンスでは高確率のアウトサイドシュート、ディフェンスでは相手の主力スコアラーを抑える役割を担う。特に近年のNBAではスペーシングを重視した戦術が主流となり、3&Dの価値はさらに高まっている。
この記事では、3&D選手の役割や重要性を整理し、代表的なプレーヤーの特徴にも触れていく。
3&D選手とは? その定義と役割
「3&D」選手とは、3ポイントシュート(3)とディフェンス(D)の両方に特化した選手を指す。攻守の両面でチームに安定感をもたらし、現代バスケットボールでは欠かせない存在となっている。
3&D選手の特徴
明確なポジションの条件があるわけではないが、専門メディア「HOOPSBEAST」や「HoopStudent」では、3&Dの特徴を次のように整理している。
- 3ポイントシュートの精度: チームにとって脅威となる高い成功率が求められる。特にキャッチ&シュートの場面でしっかり決められることが重要。
- ディフェンス力: 相手のエースを粘り強く守れる能力が必要で、スイッチディフェンスへの対応力も欠かせない。
- フィジカルとスタミナ: コートを広く動き続けるタフさが必要。試合全体で安定したハードワークができるかどうかが鍵になる。
3&D選手の戦術的重要性
現代NBAではスピードとスペーシングを中心に戦術が組まれ、3&Dプレイヤーはその中でも非常に重要な役割を担っている。以下では、彼らが戦術面でどのように貢献しているかを見ていく。
ピックアンドロールへの対応力
- スイッチディフェンス: スクリーンが来た瞬間にスムーズにマッチアップを切り替え、相手の攻撃を止める。
- ヘッジ&リカバー: ボールハンドラーへプレッシャーを与えつつ、守備の形を崩さないようサポートする。
- アイスディフェンス: サイドでのピックアンドロールを制限し、相手の選択肢を減らす。
コートを広げる役割
- 3ポイントシュートの脅威: 3&Dの存在が相手ディフェンスを外側へ引き出し、インサイドでの攻撃を通しやすくする。
- キャッチ&シュート: ディフェンスが崩れた瞬間を逃さず、素早いシュートで得点につなげる。
代表的なNBAの3&Dプレイヤー5選
ここでは、現代NBAでも特に知られる3&Dプレイヤーを紹介する。(所属は2024年6月時点)
1. クレイ・トンプソン (Klay Thompson)
歴代屈指の3ポイントシューターであり、ディフェンス面でも高い評価を得ているウォリアーズの主力。
2. ミカル・ブリッジズ (Mikal Bridges)
エリートディフェンダーとして知られ、3ポイントも安定して決められるスモールフォワード。
3. ロバート・コビントン (Robert Covington)
堅実なディフェンスとアウトサイドシュートで複数のチームから信頼を得てきたベテラン。
4. ダニー・グリーン (Danny Green)
優勝経験が豊富で、3&Dとして長年活躍してきた選手。
5. 渡辺雄太 (Yuta Watanabe)
日本人プレイヤーとしてNBAで高い評価を受け、ディフェンスと外角シュートを武器にしてきた。
3&Dに関するよくある質問
Q: 3&Dの選手はどのポジションに多い?
主にシューティングガード(SG)やスモールフォワード(SF)が多いが、サイズや機動力があるパワーフォワード(PF)が該当するケースもある。
NBAの進化にともない、3&Dプレイヤーの重要性は今後も高まっていくと考えられる。



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